パルミジャニーノ 『自画像』
Parmigianino "Self-Portrate" ルーブル美術館 |
『凸面鏡の自画像』 Self-Portrate in a Convex Millar ウィーン美術史美術館 |
パルミジャニーノについて パルマ生まれの画家パルミジャニーノはイタリア後期ルネサンス、マニエリスム時代を代表する人物で、『首の長いマドンナ』や『凸面鏡の自画像』などの風変わりな作風で知られる。また錬金術に没頭した奇人としても有名で、死後彼の遺言により裸で埋葬され、胸に糸杉の十字架を立てられた。 多分この時期の多くの芸術家と同じく、彼も同性愛者であったに違いない。 澁澤龍彦あたりの著作が好きな人なら彼の不思議なインパクトのある作品を一度は見たことがあるだろう。 『自画像』や『凸面鏡の自画像』を見ればわかるように画家パルミジャニーノは非常にハンサムで、しかも相当なナルシストである。特に『凸面鏡の自画像』は一見歪んだ鏡に映る像のようであるが、しかし彼の顔の部分は決して歪んでいない。端整な涼しい顔をした美青年が静かに微笑んでいる。そもそも自画像を描くのに鏡は欠かせないものであるが、それを歪んだ凸面鏡にするとは・・・・。発想の妙と特異な技術が見事に結晶している。 「歪んだ鏡」──僕は優れて技巧的な推理小説を書いたマーガレット・ミラーの作品を思い出した。 彼女は鏡という水晶玉を凝視していた。そこには未来と、記憶の毒に冒された夜と、欲望に蝕まれた昼があった。 |