DISC REVIEW
ROMANTIC ORGAN MUSIC
PETER HURFORD at the Organ of
Ratzeburg Cathedral, Germany




Recording 1983
argo(DECCA)
WIDOR: Toccata from Symphony No.5 Op.42
VIERNE: Berceuse from 24 Pieces en style libre
ALAIN: Litanies from Trois pieces
FRANCK: Chorale No.3, A minor
KARGE-ELERT: Marche Triomphale: Num danket alle Gott
BRAHMS: Chorale Prelude: O wie selig seid ihr doch
MENDELSSHON: Sonata, A major
BRAHMS: Chorale Prelude: Schmuche dich
BRAHMS: Chorale Prelude: Es ist ein Ros entsprungen
REGER: Introduction and Passacaglia, D minor



いま、山之口洋の『オルガニスト』(新潮文庫)を読んでいる。読み出した途端、無性にオルガンが聴きたくなり、普段からよく聴いているバッハ、フランク、メシアン、買ったきりでいまだきちんと聴いていないリストやレーガーなどをBGM代わりに聴いてみた。

CDを聴いてみて、楽曲の素晴らしさに、オルガンという楽器の迫力あるサウンドに感じ入ったのは当然だが、それよりも、解説書の方が気になった。ほとんどのCDのブックレイトには、楽曲そのものの説明の他に、使用しているオルガンの構造、すなわち、どんなストップ(Principal 32'や Vox Humana Tremulant 8'等)を有しているかということが、まるでコンピューター・プログラムの関数のように整然と載っていた。本当に設計図のようだった。
僕も『オルガニスト』の主人公と同じヴァイオリンを手にしていた人間なので、今まで「楽器の設計図」のようなものには全くと言ってもよいくらい気に留めたことがなかった。改めてオルガンという楽器が、いかにメカニックなものであるか、今更ながら気づいた次第。

それで、ピーター・ハーフォードによるロマン派オルガン曲集。もちろん最初は『オルガニスト』を読みながら聴いていたのだが、ひさしぶりに聴いてみたこともあって、何度となく読書が中断された。特にヴィエルヌの「子守歌」(Berceuse)が鳴っている最中には、まったく本が読めなかった。どこかで聴いたようなメロディー、懐かしささえ感じる。盲目のオルガニストであったヴィエルヌの作品には、本当に安らぎと慈愛が感じられる。
同じく安らぎと癒しを感じたのがブラームスのコラール。交響曲や協奏曲の厳めしさは感じられず、親密な愛らしい小品になっている。メロディーも格別、音色も可憐だ。こういうブラームスもなかなか魅力的だ。

一方、マッシブな響きとシンセサイザーのような多彩な音色で迫ってくるのが、ヴィドールの「トッカータ」とアランの「リタニ」、カール・エラートの「勝利の行進曲」。かなりのヴィルトゥオーゾ曲、とても華麗だ。

そして、いかにもオルガン曲らしいまるで建造物を思わせる構築的な三曲。フランクの「コラール」は、信仰告白のような深刻さを孕みこの曲集髄一の長さを誇るドラマティックな音楽。メンデルスゾーンの「ソナタ」は蠢くようなフーガ部分が素晴らしく、非常に聴き応えのある音楽になっている。
またレーガーの「序奏とパッサカリア」は大バッハを思わせる重厚で深遠な音楽。この重々しさがある意味レーガーの魅力で、これがまた癖になる。



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