ターチ・トリップ



1994年/日本
監督:大木裕之



題名の trip"have a hallucinatory experience caused by drug" に近い意味でよいのだろうか?
ボードレール、ベルリオーズ、ディラン・トマス、スクリャービン、トラークル、コクトーあたりがヤったような。そして Joey Stefano が・・・・
通常の意味で、ストーリーはなく、セリフもなく、ドラマもない。どこかの地方都市の何気ない日常がなんとなく切り取られ、映し出されているだけだ。
だから、なんとなく、画面に目を向ける・・・・・

ふっと身体が軽くなり、自分の身体性といったものが徐々に失われていくような、忘れ去ってしまうような感覚に包まれる。気分が安らぎ、懐かしい思い出に耽っているような。まるで音楽を聴いているかのような。
しかし一方でふっと自分の身体を意識するとき、意識させられるときが、ある。画面に裸の男やペニスを勃起させマスターベーションをしている少年が映ったときだ。そして、そのとき、改めて、新鮮な気分で、自分が、ゲイ、であると、気、づ、く。気づかせられるのかもしれない。少しだけ嬉しく、少しだけ哀しい。自分の身体を意識し、感じるときと、自分がゲイであることを感じ、意識するときは同期なのだ。

・・・・・いつのまにか映画は終わっていた。でも、バッド・トリップではないようだ。なぜか、昔飲んだドクター・ペッパーの味が思い出された。



TOP PAGE