BANG!....
FRANKIE GOES TO HOLLYWOOD
- RELAX
- TWO TRIBES
- FERRY CROSS THE MERSEY
- WARRIORS OF THE WASTELAND
- FOR HEAVEN'S SAKE
- THE WORLD IS MY OYSTER
- WELCOME TO THE PLEASUREDOME
- WATCHING THE WILDLIFE
- BORN TO RUN
- RAGE HARD
- THE POWER OF LOVE
- BANG
「トゥー・トライブズ」のビデオは最高だった。アメリカ大統領レーガンとソ連書記長チェルネンコ(のそっくりさん)がリング上で殴り合いをするのだ。
レーガンがチェルネンコを殴ると、その同盟国の首相やなんかは狂喜喝采し、チェルネンコがレーガンに蹴りを入れるとまたその関係国は勢いづく。そのうち敵味方ぐちょぐちょに入り乱れてきて、ちゃちな地球が爆発する、という趣向。
さすがはモンティー・パイソンの国イギリス。まだ米ソの冷戦華やかなりし時代、ブラック・ユーモア溢れる実に単純明快な政治ショーを披露してくれた。そこには正義も非正義も、あるいはヒューマニズムといったお題目もない。あるのは哄笑だけだ。
このアルバムはフランキー・ゴーズ・トゥー・ハリウッドのベスト版である。
一世風靡した「リラックス」を始め、彼らの音楽にはゲイテイストがストレートに出ている。レザーでキメた彼らのスタイル(ボーイ・ジョージがドラッグ・クイーンなら、FGTHはハード・ゲイタイプだろう)、あの「リラックス」の "COME" の連続。外国のゲイポルノに精通した後に聴くと、いかに "COME" がエロティックな言葉であるか実感できる(笑)。
まあ、「リラックス」自体がアナルセックスを謳っているものだし(これも実感)、「ウェルカム・トゥー・ザ・プレジャードーム」にしてもその意味するものは明白であろう。
サウンドの面で触れておかなければならないのは、プロデューサーがかのトレヴァー・ホーンであるということだ。彼はこの手のテクノ系のアレンジに名声を馳せた人物である。
このトレヴァー・ホーン、意外なところで彼の名前を発見して驚いたことがあった。『幻想文学53』の高野史緒による「ツァラトゥストラはかく歌いき」というマーラーの音楽についての文章がそれだ。
ここで著者はマーラーの『ツァラトゥストラ歌曲集』を詳しく紹介しているのだが、その曲は演奏不可能と言ってもよいくらいの難曲かつ破天的な構成を取るのでほとんど演奏されなく、録音にも恵まれていないということだ。
数少ないCDの一つで彼女の一押しでもあるのがウェルザー=メスト盤。これがなんとトレヴァー・ホーンがプロデュースしたものだと言う。マーラーの音楽とテクノ音楽のプロデューサー&次期クリーヴランド管弦楽団音楽監督ウェルザー=メスト……興味が湧かないわけがない。その記事を読んでCD店に走ったのはいうまでもない。しかし……そのCDはなかった。すごく残念だ。