CUPID & PSYCHE
SCRITTI POLITTI
- The World Girl
- Small Talk
- Absolute
- Lover to Fall
- Don't Work That Hard
- Perfect Way
- A Little Knowledge
- Wood Beez
- Hypnotize
- Flesh & Blood
スノッブなバンドだ。ネーミングはエスプリ溢れる仏蘭西語。意味は「政治文書」とでもいうのだろうか、そのシックな響き、滑舌たる韻の踏み方は見事としか言いようがない(発音してみよう)。
ボーカルのグリーン・ガートサイドにしても、その「美しい生き物」? に相応しいナルシストぶりで、ファション、スタイルにのみならず、インタビューにおけるお洒落な哲学用語や心理学用語の小粋な引用もなかなか堂に入っている。
そして極めつけは「ジャック・デリダ」というナンバー。哲学界のドン、ジャック・デリダもまさか自分がイギリスのポップグループに「脱構築」されるとは思ってもみなかっただろう。日本でも、浅田彰に言及されたことがある。
こんなスノビッシュな連中のサウンドは? というと、これが最高にポップ。様々なスタイルの音楽をミックスさせた、いわばハイブリッドな曲作りで、煌びやかなエレクトロニック・サウンドが、耳に心地よい刺激を与えてくれる。甘ったれたようなクセのあるグリーンの声も、やたら楽しそうだし、電子音は弾けまくり。
特に気に入った「音」は、「アブソルート」の中間部。なんか機嫌の良いブーレーズがハメを外したよう。「パーフェクト・ウェイ」も絶妙な転調が嬉しいし、「ウッド・ビーズ」のギャラントなヒップ・ポップも小気味良い。
やっぱりこういった電子音の惜しげもない放蕩には快感を覚える。まるでカラフルなカクテルのように、一曲一曲が刺激的な甘さを匂わせてくれる。