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アントニー・ヴァン・ダイク 『羊飼いパリスとしての自画像』 Anthony van Dyck Self-Portrait as the Shepherd Paris ウォレス・コレクション(ロンドン) |
オランダの世界初、同性愛結婚合法化を記念して、オランダ絵画のハンサム・ガイを探したけど、ちょっといいのが見つからなかった。 もちろんオランダ絵画は、レンブラント、フェルメール(大好き!)からハルス、ロイスダール、ファン・ゴッホまで世界的巨匠に事欠かないが、このサイトの趣旨(どんな?)とは違うんだな…。 というわけで、オランダ独立前、あるいはベルギー独立前まで一緒の地域だったネーデルランド、フランドル地方(現ベルギー)の画家ヴァン・ダイクの絵を紹介したい。 ヴァン・ダイクはアントウェルペン(アントワープ)生まれの画家で、まさに神童と言う名がふさわしい、並外れた才能の持ち主であった。ルックスも、こんなふうに並でない美男子ぶり。二つの自画像に見られるように、ナルシスティックな雰囲気が感じられるのも、まあ、無理はないだろう。 とくにパリス。パリス自体が「死すべき人間の中で最も美しい男」という設定の人物なので、それに扮するヴァン・ダイク自身、よほど自分の容姿に自身があったのだろう。 それにしても、パリスの持ち物である「円い」リンゴと上にすくっと伸びた棒(杖)の位置が、意味深……どころか、明快明瞭すぎる(笑)。 ヴァン・ダイクの絵は、多分中学や高校の歴史の教科書でご覧になった人が多いと思う。イギリスの清教徒革命で処刑されたチャールズ一世の肖像画を書いたのが彼です。 学校で短絡的に教えられたら、国王=悪、クロムウェル(清教徒)=善という図式になってるけど、ヴァン・ダイクの絵を見ると、とてもそう単純には思えない。国王チャールズはとても穏やかで、優しそうな顔をしている──ずっとそう感じていた。 まあ、歴史は勝利したほうが優先的に決定するものなので、それは仕方がないだろう。しかし当時の天才画家ヴァン・ダイクの「証言」は、繕った歴史を超えて、十分考慮に値する。 |
![]() 『自画像』 アルテ・ピナコテーク、ミュンヘン |