JOSEPH HANSEN -
むろんもっとも重要なのは、彼(ブラッドステッター)がホモセクシャルであるということである。当時はホモセクシャルといえば、美容師かインテリア・デコレターかバレー・ダンサーだというのが一般的な認識だった。わたしはこれらのステレオタイプがいかに間違っているかということについて、読者の認識をあらためさせたかった。実際の人生においては、ホモセクシャルはありとあらゆる地位にいる──それこそ管理人から上院議員にいたるまで。そして伝統的なタフガイ探偵の役をホモセクシャルにふることによって、わたしは人々を真実に覚醒させ、ホモセクシャルがみな受動的で臆病者だという通念を履がえさせたかった。彼らは決してそうではない。
ジョゼフ・ハンセン 『ブラッドステッター、その誕生から最後まで』(ミステリマガジン1993年3月号、柿沼暎子訳、早川書房)
ジョゼフ・ハンセン(JOSEPH HANSEN)
1923年7月19日、サウス・ダコタ州アバディーンで生まれる。13歳のとき家族とカリフォルニアに移住。高校卒業後、ジェイン・バンクロフトと結婚、1943年以後ロスアンジェルスに住む。様々な職業を経験した後、ニューヨーカー誌に詩を発表。またジャイムズ・コルトン名義で普通小説を執筆する。
そして1970年に、ゲイの保険調査員ブランドステッターを主人公とするミステリを発表する。
ジョゼフ・ハンセン著作リスト
ミステリ
デイブ・ブランドステッター・シリーズ(全作ハヤカワポケットミステリ刊)
『闇に消える』Fade Out(1970)
『死はつぐないを求める』Death Clains(1973)
『トラブルメイカー』Trouble Maker(1975)
『誰もが怖れた男』The Man Everybody Was Afraid Of(1978)
『ブルー・ムービー』Skinflick(1980)
『砂漠の天使』Gravedigger(1982)
『真夜中のトラッカー』Nightwork(1984)
『放浪のリトル・ドッグ』The Little Dog Laughed(1986)
『早すぎる埋葬』Early Graves(1987)
『服従の絆』Obedience(1988)
『弔いの森』The Boy Who Was Buried This Morning(1990)
『終焉の地』The Country of Old Men(1991)
ノン・シリーズ・ミステリ
Backtrack(1982)
Step Going Down(1985)
短篇集
The Corrupter and Other Stories(1968)
The Dog and Other Stories(1979)
Brandstetter & Others(1984)
『タンゴを踊る熊』Bohannon's Book(1988) ハヤカワ・ポケット・ミステリ
翻訳された短篇
『サーフで殺人』(ミステリマガジン1979年6月号)
『アンダースン少年』The Anderson Boy(1968)(ミステリマガジン1993年3月号)
『投票日』(EQ1985年9月号)
その他
Lost on Twilight Road(1964)
Strange Marriage(1965)
Known Homosexual(Stranger to Himself)(1968)
Cocksure(1969)
Hang-Up(1969)
Gard(1969)
The Outward Side(1971)
Todd(1971)
Tarn House(1971)
Longleaf(1974)
Pretty Boy Dead(1977)
A Smile in His Lifetime(1981)
Job's Year(1983)
LIVING UPSTAIRS(1993)
JACK OF HEARTS(1995)
A FEW DOORS WEST OF HOPE(1998)
GHOSTS & OTHER POEMS(1998)
参考文献
ミステリマガジン1990年6月号、作家特集ジョゼフ・ハンセン
ミステリマガジン1993年3月号、シリーズ完結記念特集「さよなら、ブランドステッター」