Mizer はそれ以前の1945年ロサンゼルスで"The Athletic Model Guild (AMG)"をスタートさせ、写真家、モデルエージェントとして成功していた。
最初彼は写真をメイルオーダーの形で販売し、男性誌に広告を載せていたが、これを雑誌形態に切り替えた。こうして生まれたのが"PHYSIQUE PICTORIAL"である。
この雑誌により何人かの有名モデルが生まれ、さらにトム・オブ・フィンランドやジョージ・クインタンス、Steve Masters、 Bob MacLane、 Art-Bob と言ったイラストレーターの活躍の場が開かれた。
また Mizer はさらに8 mmフィルム映画を何本か撮ったそうだ。タイトルは "Aztec Sacrifice"、 "Cruel Stepbrothers"、"Days of Greek Gods"等。非常にそそられるタイトルである。これらの作品はもちろん見たことはないが、もしかすると、これこそある意味キャンプ映画の始まり、最初のゲイポルノフィルムなのかも知れない。
アンディ・ウォーホールやローザ・フォン・ブラウンハイムのフィルム同様、機会があれば是非見てみたい。
最初のホモ・エロティック・マガジン"PHYSIQUE PICTORIAL"は成功し、同様な趣向を持った雑誌"Grecian Guild Pictorial" "Adonis" "Young Adonis" "Body Beautiful" "Tomorrow's Man"等が次々と発刊される。1950年から60年代の後半までこういった所謂 "Beafcake" の全盛になる。
一方この時期は政府との戦いの日々であった。 Mizer も猥褻罪で服役を余儀なくされた。
しかし皮肉なことに検閲が緩和され、"Advocete"等のゲイの権利を主張した雑誌も発売され、ポルノグラフィー（ハードコア）が解禁されると"PHYSIQUE PICTORIAL"はかつての輝きを失ってしまう。
それでも"PHYSIQUE PICTORIAL"は Mizer の死の翌年（1993年）まで刊行され続けた。
僕は"PHYSIQUE PICTORIAL"を20世紀の偉大なるゲイ・キャノン(Gay Canon)と呼ぶに躊躇しない。
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